コンビニの買ってはいけない食品 買ってもいい食品 | 渡辺雄二
「コンビニの買ってはいけない食品」として最初に例として紹介されている「おにぎり」の章を読んで(アマゾンで立ち読みして)、びっくりしました。
コンビニのおにぎりは、「とてもおいしい」という人と、「変な味がしてまずい」という人にわかれるようですが、「まずい」と感じる人は、ご飯に不自然な味を感じるからのようです。実は、コンビニおにぎりのご飯には、秘密があります。それは、油が使われていることです。
という冒頭の文で始まります。
製造機械にご飯が付着するのを防ぐのと、保存・保湿のために、コンビニのおにぎりが植物油を使用していることが、「まずい」と感じる理由として挙げられています。
おにぎりに少しだけついた植物油を「変な味」の原因にしてしまうとは、驚きです。
植物油を少しでも使ったご飯で変な味がするなら、著者はチャーハンやピラフ、まぜご飯などが大嫌いな人なのかもしれません。
しかも、統計をとったわけでもないのに、『「とてもおいしい」という人と、「変な味がしてまずい」という人にわかれるようです』と簡単に決めつけてしまっていますが・・・実際にどのくらいの割合で「わかれる」のか、疑問です。
次に、pH調整剤として加えられている酢やクエン酸が槍玉に挙がっています。
現在、ほとんどのコンビニおにぎりは、「保存料・合成着色料不使用」という表示があります。「ならば、安心だね」と思う人もいると思いますが、実は防腐効果のある別の添加物が使われているのです。
どのおにぎりにも、「pH調整剤」という表示がありますが、これが保存料の代わりになっています。pH調整剤は、酢酸やクエン酸などの酸がほとんどです。お酢でもわかるように、酢には殺菌効果があります。そのため、保存性を高めることができるのですが、酸のなかには、口や胃の粘膜を刺激するものがあります。
なんと、酢は口や胃の粘膜を刺激するからダメだ、というわけです。
しかも、わざわざ太字で強調されています。
たしかに、強い酸である酢などを大量に直接飲んだら、胃や粘膜を痛めてしまう可能性が高いです。
しかし、この本が言うとおり、食品にほんのわずか添加されている酸でも体に悪いというなら、寿司や酢豚、酢の物、冷やし中華、リンゴやレモンなど、酢やその他の酸が含まれている、ありとあらゆる食品も「食べてはいけない」ことになってしまうはずです。
ご飯に酢が付いているのがダメということは、この本の著者は、寿司などという酢酸だらけの非常に危険な食品は、ぜったいに食べないんでしょうね。(笑)
さらに、コラーゲンにも含まれているアミノ酸のグリシンについて。
安全性は高いはずですが、鶏やモルモットに大量にあたえると、中毒をおこして死亡することもあります。
と紹介されています。
「大量」というのがどのくらいの量か、全く具体的な数字を示さずに、危機感をあおっているだけの一文です。
誰もがふだん普通に使っている安全な食品である植物油、砂糖、醤油、塩、、、それらすべて、当然ながら、鶏やモルモットに大量にあたえると、中毒をおこして死亡することもあります。
もちろん人間も、砂糖や塩や酢を許容量以上に大量に摂取すると、中毒死することがあります。
だから「買ってはいけない」ということになるのでしょうか。
短絡的というか、あまりにも強引なロジックに、びっくりです。
こういう本が売れているという事実があるだけで、あまり深く疑わずに、「コンビニのおにぎりは危ない、と専門家が言っているらしいよ」と、簡単に信じてしまう人も多いのではないでしょうか。
消費者の不安をあおる書き方をして、話題になり、本が売れればいい、という発想で書かれたとしか思えない、おどろくほど非論理的な内容の本だと思いました。
かつてのミリオン・セラー「買ってはいけない」の執筆者の一人でもある渡辺雄二氏が、数々の正当な批判を浴びながら全く懲りずに学習せずに、いまだに同じロジックと文体で、同じような「煽り本」を書き続けていることには、むしろ逆に感銘さえ受けてしまいます。
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